ハンドボールでは、パスやシュートを受けるときにボールが指先に当たり、突き指をする場面がよく見られます。ところが、単なる突き指だと自己判断していると、骨折や腱断裂を見逃すおそれがあります。この記事では、突き指と骨折の見分け方と処置方法を見ていきましょう。
ハンドボールは突き指しやすい?
ハンドボールは激しい球技で、手指に強い力が加わる場面が多く、突き指をしやすいスポーツです。まずは突き指がどのように起こり、どんなケガなのかを見ていきましょう。
捕球や接触で起こる突き指
ハンドボールなどの球技では、パスをキャッチしようとした瞬間や、飛んできたボールが指先に直撃したときに突き指をすることがあります。選手同士の接触プレーでも、指先に急な力が加わることがあります。強い衝撃が指の軸の方向や不自然な方向にかかることで、指の関節に大きな負担が生じます。
突き指は打撲や捻挫の総称
突き指とは、指先に強い力が加わって起こる打撲や捻挫などのケガをまとめた呼び方です。関節の捻挫にとどまらず、関節を支える靭帯の損傷や関節包・腱の断裂、骨の損傷まで幅広い状態が含まれます。
放置すると残る後遺症
指を痛めても「そのうち治るだろう」と様子を見たくなりますよね。ところが突き指を放置すると、靭帯が緩んだまま治り、ボールをしっかり握りにくくなる後遺症が残るおそれがあります。関節の変形や動かしにくさが長く続く危険もあるため、競技のパフォーマンスを守るにはケガをした直後の判断と管理が欠かせません。
突き指と骨折の見分け方は?
突き指も骨折も痛みや腫れをともなうため、ぱっと見では区別しにくいことがあります。突き指と骨折の見分け方のポイントについて見ていきましょう。
痛みの強さと続く期間
突き指の痛みは骨折に比べて軽いことが多く、時間とともに和らいで、1週間前後で落ち着く傾向があります。一方、骨折では鋭く激しい痛みが出て、安静にしていてもズキズキと痛み続けます。数日たっても痛みが引かない、患部に力がかかると激痛が走る、一点を押すと飛び上がるほど痛いといった場合は骨折が疑われます。
指を曲げ伸ばしできるか
指を動かせるかどうかも、突き指と骨折の見分け方の大切な目安です。ふつうの突き指なら、痛みや腫れで動かしにくくても、なんとか指を動かすことはできます。
骨折では激しい痛みや指の構造の破綻によって、曲げ伸ばしがとても難しくなったり、できなくなったりします。動かそうとすると耐えられないほど痛む、第1関節や第2関節が固まって自力で動かせないときは、骨折の可能性も考えておきましょう。
腫れや内出血の広がり
ケガをすると、まず痛みが出て、時間とともに腫れや内出血、皮膚の変色が現れるのが一般的な流れです。受傷した日は痛みだけでも、翌朝になって指が紫色に大きく腫れ上がることもあります。骨折は突き指に比べて腫れや内出血が強く出やすく、指全体がふだんの2倍以上に膨らみ、紫色のあざが広がる場合は骨折の疑いが強いといえます。関節ではない骨の中央付近(基節骨や中節骨)に強い腫れや激しい圧痛、変色があるときも同様です。
指の変形や骨片の感触
指が本来は曲がらない方向を向いていたり、関節が元の位置から外れていたりする場合は、骨折や脱臼、亜脱臼が起きている可能性があります。患部に触れたとき、骨のかけらのような感触があるのも骨折を疑うサインです。見た目にはっきりとした変形があるときは、自分で処置しようとせず、すぐに専門医を受診しましょう。
第1関節が伸びないとき
ボールが指先に当たった拍子に、指を伸ばす伸筋腱のついている部分が骨ごと剥がれる剥離骨折が起こることがあります。こうなると第1関節が木槌のように曲がったまま、自分の力では伸ばせなくなります。この状態はマレットフィンガー(槌指)と呼ばれ、腱が切れたときにも同じ変形が出ます。第1関節が自力で伸びないときは、早めに専門的な診察を受けてください。
受傷直後の処置方法は?
ケガをした直後は、突き指なのか骨折なのか判断がつかないことも多いですよね。それでも、見分けがつく前から基本の処置をすぐに始めることが、炎症の広がりを抑えて、その後の回復を早めるカギになります。
まずはRICE処置
受傷直後は、突き指でも骨折でも共通してRICE処置を行います。RICEは4つの手当ての頭文字をとった応急処置で、ケガをしてすぐに手早く行うことで、内出血や腫れを最小限に抑え、組織の傷みが広がるのを防ぐことにつながります。4つの中身は次のとおりです。
- 安静(Rest)
- 冷却(Ice)
- 圧迫(Compression)
- 挙上(Elevation)
冷やす時間は15〜20分
アイシングは、氷のうや氷水を患部に当てて行います。1回あたり15〜20分間しっかり冷やしたら、30〜40分ほどの間隔をあけて、また冷やすことを繰り返しましょう。早めに冷やすと血管が縮み、炎症や内出血が広がりすぎるのを抑えられます。冷やしすぎによる凍傷を防ぐため、氷が肌に直接張りつかないように気をつけてくださいね。
圧迫と挙上のポイント
ハンカチや包帯などを軽く巻いて圧迫すると、内出血やむくみが進むのを抑えられます。ただし締めつけすぎると指先の血の巡りが悪くなるので、力加減はほどほどにしましょう。あわせて手を心臓より高い位置に上げておくと、血液や組織液が指先にたまりにくくなり、腫れを抑えるのに役立ちます。
湿布の貼り方の工夫
痛みが強いときは、湿布を貼るのも炎症や痛みを和らげるのに役立ちます。ふつうの突き指なら湿布で良くなっていくこともありますが、骨折が湿布だけで治ることはありません。また、指は湿布が剥がれやすいので、細長く切ってらせん状に巻き、上から包帯で留めておくと効果が安定しますよ。
テーピングで指を固定
患部を動かさないよう固定しておくことも大切です。25mm幅のテープで、痛めた指を隣の健康な指といっしょに巻いて固定する方法があります。接骨院などでは、アルミ副子やシーネでしっかり固定することもあります。
指を引っ張るのは厳禁
「突き指は引っ張れば治る」という話を耳にすることがありますが、これは昔からある誤った俗説です。骨折やヒビ、脱臼が起きていた場合、無理に引っ張ると骨のずれがひどくなったり、周りの血管や神経、靭帯をさらに傷つけたりします。
治ったあとに関節の緩みや変形が残る原因にもなるので、絶対にやめましょう。
病院を受診する目安は?
症状が強いときや長引くときは自分で判断せず、整形外科や接骨院で正確な検査を受けて、治療やリハビリを進めることが大切です。
すぐ受診したい症状
次のような症状があるときは、骨折や腱断裂が疑われます。
- 激しい痛みが続いている
- 指が不自然な方向に曲がっている
- 指を自力でまったく動かせない
- 指が2倍以上に腫れている
- 広い範囲に内出血やあざがある
- 指先の感覚が鈍い、または麻痺している
- 数日たっても症状が良くならない
なかでも上の3つに当てはまるときは、すぐに整形外科を受診してください。ほかの症状も放置せず、早めの受診が大切です。
検査と治療期間の目安
整形外科では、レントゲンで骨折の有無や骨のずれを確認します。軽い突き指(捻挫)なら1〜2週間のテーピングやシーネ固定を行い、痛みや腫れは1週間程度で引いて、2〜3週間ほどが治るまでの目安です。
骨折の場合はギプスなどで約1ヶ月の固定が必要で、ずれが大きいときは手術で整復してから固定します。
剥離骨折や腱断裂では、ギプスや装具で6〜8週間固定するか、手術が行われることもあります。整形外科病院のチャンネルからも情報が発信されているので、あわせて参考にしてみてください。
出典元:【福岡】南川整形外科病院
まとめ
強い痛みや変形があるとき、指を動かせないときは骨折を疑い、まずはRICE処置で冷やして安静を保ちましょう。指を引っ張るのは避け、症状が重いときは早めに整形外科を受診してください。今回紹介した突き指と骨折の見分け方を参考に、ケガをしたときも落ち着いて対応してみてくださいね。









